鍛造(たんぞう)製法のリングに虎彫り彫金
2015年05月12日(火)
地金溶解しをハンマーで叩き地金をしめ、火入れと何度も繰り返し手作業でリングに仕上げます。側面、内面、表面もヘラを使い手作業で削りだして完成させます。その為、滑らかな装着感、質の良い、硬度あるリングに仕上ります。そのリングに彫金を施していきます。
虎デザインは一日に千里を走り千里を帰るといわれる強大な力を秘めることからあらゆる厄災を追祓い家内安全・開運隆盛・富貴繁栄を招くとされています。邪悪な力を跳ね返して金運・仕事運を良くするとも伝えられています。集中力が高まり、心が静まる、知力、判断力を増す。などの伝承があります。
純金は非常に柔らかくジュエリーには加工性も難しく、日常使いにおける耐久性も難しいとされています。鍛造という技法(金属をハンマー等で叩いて圧力を加える事で、金属内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高める)古くから刀工が日本刀など刃物や火縄銃の銃身の製造技法として用いています。
この技法で作られた24金リングです。その他、純プラチナ(Pt999)・K18・Pt900の素材でも虎彫金できます。
彫金師は鏨(たがね)と金槌を使って彫りあげていきます。彫金用の金槌は通常『おたふく』と呼ばれ各党派によって持ち方が違うといいます。鏨に対しては手首を軸として打ち、ひじと肩はほとんど動きません。金槌の大きさは一般に3分、5分、7分(9mm〜21mm)の三種に分けられます。鏨を打つ金槌の平らな部分を鏡と言います。鏨の種類は毛彫り鏨、丸毛彫り鏨、片切り鏨、刃鏨、蹴り鏨とあります。何本もの鏨を使い分けデザインを完成させます。鏨の中のひとつで片切り鏨は一般的にもよく知られている鏨です。特徴を出せる鏨で和筆風に彫ることが出来ます。赤穂浪士の仇討の頃に横谷宗萊が考案したと言われています。明治、大正、昭和の初めにかけて、数多くの作品がつくられていますが明治時代の加納夏雄、勝野勝萊、海野美盛、香川勝広、豊川光長。鹿島一布が活躍とあります。
日本伝統工芸である金属彫刻は飛鳥時代の寺院建立に基盤を得て我が国国有の技法を生み出し修練を重ね象嵌、肉彫り、片切り彫り、毛彫り等多彩な技法を用い今日彫金という工芸美術になっています。